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小さな学校の大きな挑戦

たまひじりのA知探Q 学びの玉手箱!
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聖ヶ丘ニュース
校長

【校長ブログ】行動できる避難者たれ

 98年前の今日、マグニチュード7.9と推定される大地震が関東南部を襲い甚大な被害が出ました。その後も1995年1月17日の阪神・淡路大震災、2011311日の東日本大震災と激甚災害が断続的に発生しています。プレート境界に位置する日本列島では、小松左京さんの小説『日本沈没』(1973年、光文社)にあるように巨大災害が「いつ」「どこで」起きても不思議ではありません。それゆえ、先人たちの経験から学ぶことも少なくありません。災害記憶と記録を正確に後世に伝え、防災、減災の備えが求められています。

 また一方で、「人間は経験することによって行動の仕方を学ぶ」とも言われます。確かに、科学の発達により地震予知技術が進歩したとはいえ解明できている領域はほんの僅かです。そこで「防災の日」や「津波の日」などを一つのきっかけとして疑似的な体験をしたり、家庭で避難経路や連絡方法・手段を確認し合ったり、装備を整えたりなど、適切な対応行動ができるようにしておくことが大事だと言われているのです。「何とかなるさ」という甘い気持ちでは意味がありません。その意味では、大学受験の準備も同じかも知れません。気づいた時には遅いのです。コロナ禍についてもまたしかりです。

 ただ、学校に居れば教職員がいて、家庭では保護者の方がいらっしゃるので「指示されるまま」「言われるまま」に行動していれば、ある程度はそれで良いと思うかも知れません。しかし、学校一つをとっても700名の生徒に40人の教職員(専任)の本校でも、非常食や飲料水、毛布の配付、簡易トイレの設置等々、皆さんの手がなければ対応は不可能でしょう。さらに、少し範囲を広げて近隣界隈や町内のことを考えると、高齢社会の中にあっては、中学・高校生は大きな働き手なのです。特に、私たちの学校のある聖ヶ丘周辺の住宅地では、高齢化が進むと共に、昼の間は働き手が都内などに出かけお年寄りと小さな子どもや女性だけになっています。こうした中では、同じ被災者・避難者でありながらも、お年寄りや不便を感じている人からすれば支援や救護の大きな担い手として中高生の若い力が必要とされる場面がいくつも出てくると思われます。

 もちろん、いざ災害が発生した時には「自分の身を守ること」「安全第一」が最優先です。その後、落ち着いて来たら周囲への働きかけや手伝いとして何ができるか、状況把握に努めてください。皆さんは教職員と共に避難行動が可能ですが、周辺の住宅地の方々はどうでしょうか。町内会ではある程度の要介護者は把握されているとは言え、必要な人手はその場になってみないと分かりません。そういった時に、皆さんは何ができるのでしょうか?必ずや皆さんの力が必要な場面が出てきます。

 これからは「正解のない時代」「予測不可能な社会」と言われます。だからこそ「自分で考え、行動できる人」をめざしてほしいと願っています。また、私たち教職員も、7月に国内外で活躍されている(一財)日本防災教育訓練センターのサニーカミヤさんをお招きして、緊急時対応の研修会と備蓄品チェックなどのアドバイスを受け、それに基づいてさらなる整備を進めています。