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小さな学校の大きな挑戦

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聖ヶ丘ニュース
校長

【校長ブログ】災害は忘れずにやってくる

 「天災は忘れた頃にやってくる」という箴言は、寺田寅彦先生[1878-1935]の警鐘の句としてあまりにも有名です。災害を忘れることなく日々の備えをしようという意味ですが、これは寺田先生が講演の中で発した言葉とされています。

 東日本大震災から10年目を迎える先週の末、2132308分頃に再び大きな地震が日本列島を襲いました。たまたま津波が起きない深い場所が震源地だったこと(沈み込むプレート内の地震)、COVID-19 感染症への緊急事態宣言下で外出を控えた自粛生活をしていたことなどもあって、深夜にも関わらず大きな揺れでしたが、亡くなった方もおらず人的被害は小さくて済みました。学校でも改めて施設やマニュアルを点検し、生徒にはカード判の「登校時における地震発生への対応マニュアル」を配り、注意喚起をしたところです。    

 地震発生のメカニズムや予知については、科学的に解明されていないこともたくさんありますが、発生の場所による特徴や被害想定の違いは少しずつ分かって来ました。つまり、①陸域の浅い地震(1995年兵庫県南部地震、2016年の熊本地震など)、②プレート境界の地震(2003年十勝沖地震、2011年東北地方太平洋沖地震など)、③沈み込むプレート内の地震(1993年釧路沖地震、1994年の北海道東方沖地震など)の3つのパターンです。また、これまでに大地震の発生確率についても議論されて来ました。今回と同じような震源パターンをもつ地震としては、2004年にインドネシのスマトラ北部西方沖で発生した地震があります。そこでは、3か月後にはモーメントマグニチュード(以下Mwとする)8.6、約2年半後には Mw8.4、約5年半後にMw7.8、約7年半後および約 11 年後にはそれぞれ Mw8.6とMw7.8 の地震が発生しています。こうしたプレート内部で起きる地震は、その後も周辺地域で何度も繰り返す癖があります。気象庁の専門委員会によれば、マグニチュード7.0~7.5程度の地震が30年以内に発生する確率は26%とされています。

 時の流れに従い季節は巡りますが、自然の摂理の中では、もとに戻す力(復元力)が働くのです。つまり、地震は「忘れた頃にやってくる」のではなく、必ず元に戻す力で「忘れずにやってくる」のです。そのため、今後も地震についての正しい知識を忘れずに、地震災害に対する十分な備えが大切です。

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 さて、今年も穏やかな季節となり、いつの間にか大人の顔になった卒業生を送り出すとともに、4月からははつらつとした若き新入生を迎えます。中学新入生については、コロナ禍の下、11日(祝)には密を回避するため4回に分け、各回30人に限定して準備会を行いました。制服採寸や物品販売の会場では、少し緊張した新たな顔がありました。50分の説明会では、挨拶のほか、入学に当たって最小限度必要なこと、スマートフォン使用上の注意などに限って話をしました。私からは、この1年間の努力と合格を称え、10日の放課後に調理室で私が作った桜餡を入れたカップケーキを全員にプレゼントしました。4月に新入生の皆さんと出会えることを楽しみにしています。

 なお、高校入学生は、3月最初の公立高校合格発表をもって最終的に人数が確定します。

ef.

中谷 宇吉郎(2014)『寺田寅彦 わが師の追想』講談社学術文庫、336ページ。Original1947

2011年311日の地震災害については「2011年東日本大震災」と、地震そのものを指しては「2011年東北日本太平洋沖地震」という。