【校長ブログ】ブルキナファソに学ぶ②
ブルキナファソでは、食器や物入れ、水くみ用など実にたくさんのひょうたん(瓢箪)を目にします。ひょうたんは、北アフリカ原産のウリ科植物Lagenaria siceraria var. gourdaで、食用にしたり、中身を取り出しで乾燥させて使ったりします。市場に行くと、日本でよく見られる「千成ひょうたん」のような二段になったものではなく、メロンのような丸い形や「つる首」と呼ばれる形のものがほとんどです。市場では、膨らんだ部分を二つに切ってボールのような形に加工した大小のひょうたんが売られています。日用品としてはそのままの状態で使いますが、ひょうたんの表面をきれいにデザインして彩色加工したものもあります。また、ひょうたんを使ったいろいろな種類の楽器があります。膨らんだ部分を共鳴器とした弦楽器、堅い木の下にひょうたんをぶら下げるようにしてつけた鍵盤楽器、中に貝殻を入れてマラカスのようにした打楽器など、たくさんの種類があります。
ひょうたんは、日本でも福井県鳥浜貝塚など縄文時代草創期や前期の遺跡からも種子が出土しているように、古くから人間生活に利用されてきたことが分かります。最新の研究によれば、ネアンデルタール人の後にアフリカで生まれた私たち現生人類Homo sapiensは、今から18万年前ごろにアフリカ大陸を出て、世界各地へと拡散したと考えられています。日本列島には今から3万8千年前には到達したとされており、同じ時期にひょうたんも一緒に持ち込まれたのではないかと想定されます。
物質文明が発展し、石油製品やプラスチック製品の環境への負荷を考えるとき、今なおさまざまな用途でひょうたんを用いて生活しているアフリカの人々の伝統的様式と知恵に学ぶべき点は多いのではないかと、感じています。
持ち帰ったひょうたんを眺めつつ、偉大なる人類の旅路と知恵を感じる次第です。
令和2(2020)年2月22日
校長 石飛 一吉